六爻占い教室

第8章|六獣の象意と補足解釈

はじめに:「生死の断定」から「細部の描写」への飛躍 前七章を通じて、五行の旺衰、動変のロジック、そして構造的な力を学びました。これにより、事の成否(吉凶)を正確に判断できるようにな…

December 27, 2025 · 12分で読めます

はじめに:「生死の断定」から「細部の描写」への飛躍

前七章を通じて、五行の旺衰、動変のロジック、そして構造的な力を学びました。これにより、事の成否(吉凶)を正確に判断できるようになりました。しかし、多くの読者はさらに一歩踏み込んでこう問うでしょう。「商談が成立することは分かったが、相手はどんな人物なのか?」「病気が治ることは分かったが、体のどの部位に問題があるのか?」

ここで登場するのが「六神(りくしん:六獣ともいう)」と「神煞(しんさつ)」です。資料の「六神章第十八」と「星煞章第三十三」における精緻な評釈に基づき、私たちは一つの核心的な認識を持たなければなりません。それは、**「六神は吉凶を主(つかさど)らず、ただ形態を主る」**ということです。吉凶は常に五行の生剋によって決定され、六神はその吉凶が「どのように起こるか、どのような特徴を備えているか」を記述するためのものです。

第一節:六神システムの核心的定義と配列法則

六神は、占った当日の「日干(にっかん)」に基づいて配置されます。

1. 六神配列対照表(下から上へ配置)

甲・乙の日: 初爻より「青龍(せいりゅう)」を起す。

丙・丁の日: 初爻より「朱雀(すざく)」を起す。

戊の日: 初爻より「勾陳(こうちん)」を起す。

己の日: 初爻より「螣蛇(とうだ)」を起す。

庚・辛の日: 初爻より「白虎(びゃっこ)」を起す。

壬・癸の日: 初爻より「玄武(げんぶ)」を起す。

2. 筆者による深度解析:六神配列の「気のサイクル」

六神の順序は固定された循環です:青龍 → 朱雀 → 勾陳 → 螣蛇 → 白虎 → 玄武。これらはエネルギーが、発生(木)、拡張(火)、転換(土)、変異(土)、収束(金)、隠匿(水)へと流れる循環を象徴しています。

第二節:六神の性格特徴:現代実戦的解析

資料「六神章第十八」では、古人の「青龍は吉を主り、白虎は凶を主る」という一面的な見方を強く批判しています。

青龍(せいりゅう):慶事、生育、高潔、酒色

正の象意: 喜び事、結婚、出産、昇進、名誉、慈愛。

負の象意: 過度な享楽、酒色に溺れる。

筆者による解析: 子孫爻に青龍が臨めば本来は慶事ですが、その爻が「化絶(無力化)」していれば、喜びも束の間であることを意味します。

朱雀(すざく):言葉、口舌、情報、文明

正の象意: 才能、文章、吉報、雄弁、文化、情報伝達。

負の象意: 口論、訴訟、デマ、呪い、喧嘩。

勾陳(こうちん):遅滞、田土、牢獄、勾連(しがらみ)

核心的象意: 安定しているが遅い、古いもの、不動産、建築。

負の象意: 繋ぎ止められる、トラブルの連鎖、腫れ物(病症)。

螣蛇(とうだ):虚驚(空騒ぎ)、怪異、纏わりつき、猜疑心

核心적象意: 奇妙、夢、神経質、狡猾、束縛。

実戦的象意: 結局は「空騒ぎ(雷声大きく雨少なし)」、内面の不安、不信感。

白虎(びゃっこ):剛強、血光(出血)、疾病、法律

正の象意: 果断、威権、専門技術(医療、軍警)、効率。

負の象意: 怪我、手術、死亡、残酷。

資料の修正: 「白虎が興じても吉神に会えば、その吉を害さず」。旺相する財爻に白虎が臨めば、外科医や軍需産業などでの大きな利益を意味します。

玄武(げんぶ):隠密、盗難、奸詐(ずる賢さ)、曖昧

核心的象意: 暗闇、不透明、秘密、闇取引、不適切な男女関係、失せ物。

正の象意: 底知れぬ知恵、隠者、アンダーグラウンドの仕事。

第三節:筆者による深度解析 —— 「理(ロジック)」と「象(イメージ)」の弁証関係

五行は「理」: 事柄が「成るか成らないか」を決定する。

六神は「象」: 事柄が「どのような様子か」を決定する。

ケース解析: 出世を占い、官鬼爻が旺相しているとする。

青龍が臨めば: 名誉ある抜擢、清廉な官職。

朱雀が臨めば: 文書や口才、文化的な功績による昇進。

白虎が臨めば: 武職、法執行官、あるいは激戦の末の昇進。

玄武が臨めば: 裏工作、秘密裏の任命、あるいは特殊工作部門。 このように、同じ昇進でも六神によってその「性質」が浮き彫りになります。

第四節:神煞(しんさつ)章 —— 批判的継承と精緻な取象

資料「星煞章第三十三」では、神煞の使用に極めて慎重です。野鶴老人は、検証しても当たらない神煞を排除し、信頼性の高いものだけを残しました。

天乙貴人(てんいつきじん):補助と格上げ

生死は主りませんが、「転機」を表します。困窮していても貴人が臨めば、社会的地位の高い人物が救いの手を差し伸べてくれます。

駅馬(えきば):変動と奔走

スピード、出張、海外、逃亡、あるいは心が定まらない状態。

天喜(てんき):喜びと緩和

病占でこれを得れば、病状が重くとも心が楽観的であり、回復の助けとなります。

第五節:実戦ケースの解析(資料評釈より)

ケース1:白虎は必ずしも死を主らず(兄弟の吉凶を占う) 申月の辰の日、兄弟の病気を占う。兄弟爻は月建に助けられ旺相しているが、白虎の臨む官鬼が動いて剋している。

判断: 伝統的な見方では「虎が動けば喪(も)に服す」とされますが、野鶴老人は「五行上、元神が極めて強いため死なない。病は他から得たものである」と断じ、完治しました。

ケース2:風水予測における六神の奇効(現代ケース) 住居の風水を占った際、父母爻(建物)に白虎が臨み、月破であった。また五爻(道)に白虎。

判断: 白虎は通路を主り、破れているのは道路が破損していること。玄武が水庫に臨んでいることから「下水道の漏水、修繕」を指摘し、すべて的中しました。

第六節:筆者による深度評価 —— 六神と身体部位の現代的対応

螣蛇: 心悸、不眠、悪夢、神経衰弱。

朱雀: 発熱、狂躁、炎症。

勾陳: 腫瘍、結石、消化管の詰まり。

白虎: 出血、外傷、骨折、手術。

玄武: 陰虚、冷汗、うつ病、隠れた持病。

第七節:どのように「血の通った」断語を構築するか?

モデル:[用神の旺衰] + [構造の力] + [六神の象意] = 完全な予測

練習: 求財を占い、妻財爻が化進神(大きな利益)となり、かつ朱雀が臨む。

断語: 「この財は必ず手に入ります。しかもそれは情報差やプレゼン、あるいは契約によって得られるお金です。手に入れる前に、激しい交渉(朱雀の口舌)があるでしょう」

第八節:神煞と六神の応用の三つの禁忌

「象(イメージ)をもって財に代える」を禁ず: 青龍を見たからといって金持ちになると言ってはいけません。五行の財がなければ、ただの見栄っ張りに過ぎません。

「神煞を死守する」を禁ず: 駅馬が動いたからといって必ず海外に行くわけではありません。ただ「心が焦っている」だけの場合も多々あります。

「対応関係」を重視せよ: 官鬼に朱雀なら弁護士、白虎なら外科医。職種の特定は常に五行と六神の組み合わせで行います。

結び

六神と神煞を通じて、六爻予測は二次元の「吉凶」から三次元の「情景シミュレーション」へと進化します。見えるのは冷たい五行の記号ではなく、生き生きとした人間模様と物態の細部です。これこそが『増删卜易』において「神断(神のごとき判断)」の境地へ至るための必須のステップです。

次章予告: 「第九章:時間の定点:応期判断の十大法則と実戦の秘策」。予測者の実力が最も問われる「いつ起こるか」という難問を、論理的に解き明かします。

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