六爻占い教室

第5章|五行生剋の実戦ロジック

はじめに:エネルギーの隠身と進化 これまでの章では、爻のエネルギーの強さ(旺衰)を量化する方法を学びました。しかし実戦では、「用神は強いはずなのに、なぜ物事が進まないのか?」「忌神…

December 24, 2025 · 12分で読めます

はじめに:エネルギーの隠身と進化

これまでの章では、爻のエネルギーの強さ(旺衰)を量化する方法を学びました。しかし実戦では、「用神は強いはずなのに、なぜ物事が進まないのか?」「忌神が動いたのに、なぜ実害がないのか?」という困惑に直面することがあります。

これは多くの場合、エネルギーの「存在状態」を見落としているからです。資料にある「旬空(しゅんくう)」(エネルギーのステルス化)、「進神・退神」(エネルギーの進化傾向)、そして「生旺墓絶(しょうおうぼぜつ)」(エネルギーのライフサイクル)こそが、これらの高度な疑問を解く鍵となります。

第一節:旬空章 —— 虚実の間に潜む断卦の芸術

「旬空」は別名「空亡(くうぼう)」とも呼ばれます。古法では真空、仮空、動空、沖空、填空など非常に煩雑でしたが、野鶴老人は実戦を通じてこれを核心的なロジックに簡略化しました。

1. 旬空の定義と原理

十干(甲・乙…)と十二支(子・丑…)を組み合わせると、十日間(一旬)の中で二つの十二支が余ります。これが「空(から)」になる状態です。

甲子旬:戌・亥が空。

甲戌旬:申・酉が空。

(以下、十日ごとに二つずつ空亡が割り当てられます)。

2. 筆者による深度評価:「空にして空ならず」の判断基準

資料では、すべての空亡が「完全に消滅した」わけではないと明示しています。以下は**「空と見なさない」**ケースです。

動ければ空ならず: 爻が発動(動爻)していれば、すでにエネルギーの波動が生じているため、空とは見なしません。

日建の助けあれば空ならず: その日の十二支が空亡の爻を助けている場合。

動いて空に化すも空ならず: 動爻が変化した先(変爻)が空であっても、元の動爻に力があれば無効にはなりません。

真の「真空(しんくう)」: 資料では、「春の土、夏の金、秋の木、冬の火」のように、その季節においてエネルギーが「死絶(最弱)」の状態にあり、かつ空亡である場合のみを、徹底的に無力な「真空」と定義しています。

3. 旬空の実戦的意義(趨吉避凶)

空を避けて吉となす: 災難や病気を占う際、「官鬼」や「忌神」が空亡であれば、災いは当面降りかかりません。これを「避空則安(空を避ければ則ち安らかなり)」と言います。

空にして用を待つ: 財運や成功を占う際、用神が空亡なら「今は時期尚早」であることを意味します。十日間が過ぎる(出旬)か、日辰がその爻を沖する(沖空)日を待つ必要があります。

第二節:進神退神章 —— 事物の長期的趨勢を予測する

動爻が変化して同じ五行の爻(変爻)になったとき、「化進(かしん)」または「化退(かたい)」が生じます。これは物事の「持続性」と「規模」を判断する要です。

1. 進神と退神の定義

進神(しんしん): エネルギーが前進・拡大すること。例:亥が動いて子に変わる、寅が動いて卯に変わる。

退神(たいしん): エネルギーが後退・縮小すること。例:子が動いて亥に変わる、卯が動いて寅に変わる。

2. 筆者による深度評価:進退神の四つの実戦レイヤー

資料「進神退神事第二十九」では、これを精密に量化しています。

第一:勢いに乗りて進む。 動爻も変爻も旺相(強い)している。春の草木のように勢いがあり、物事は急速に進展し規模が拡大します。

第二:時を待ちて進む。 現在は季節に抑えられて弱いが、根底にエネルギーがあれば、旺相する季節(春から夏へなど)になれば前進します。

第三:不進の進。 動爻や変爻が空亡や月破であっても、それが解消される(填実)日になれば力を発揮します。

核心の鉄則:

進神に化すもの: 現在障害があっても、最終的には必ず大成します。

退神に化すもの: 今は強そうに見えても、最終的には衰退、縮小、失敗します。病占で「元神」が退神になれば、生命力が徐々に枯渇することを意味します。

第三節:生旺墓絶章 —— ライフサイクルの象数応用

「長生十二宮」は、エネルギーが発生から消滅、貯蔵されるまでのプロセスを描いています。

1. 五行生死の法則(実戦版)

資料では、実戦で重視すべきは**長生(ちょうせい)・旺(おう)・墓(ぼ)・絶(ぜつ)**の四つの状態であると指摘しています。

金: 長生は巳、旺は酉、墓は丑、絶は寅。

木: 長生は亥、旺は卯、墓は未、絶は申。

火: 長生は寅、旺は午、墓は戌、絶は亥。

水・土: 長生は申、旺は子、墓は辰、絶は巳。

2. 筆者による深度評価:土の長生に関する定論

古法では「土の長生は寅」とする説もありましたが、野鶴老人と評釈者は**「土の長生は申、旺は子、墓は辰」**(水土同宮)を一貫して支持しています。実戦ではこのルールに従うべきです。

3. 生旺墓絶の「象(イメージ)」と「理(ロジック)」

理(吉凶): 用神が長生・帝旺に会えば吉。墓・絶に会い、助けがなければ凶。

象(詳細): 墓に入ることは必ずしも「死」ではなく、**「意識不明、入院、引きこもり、隠される」**といった状態を表します。長生は「絶え間なく湧き出る力」を象徴します。

第四節:実戦ケースの解析

ケース1:進神ならざる進神の偽象 ある人が官職を得られるか占ったところ、子孫爻(官を剋するもの)が動いて退神になった。

判断: 子孫は本来なら官職を阻みますが、退神になったことで「阻む力が弱まっている」と見なします。結果、その阻害が消える年に官職を得ることができました。

ケース2:旬空の中の転機 財運を占った際、用神の財爻が月破(げっぱ)かつ旬空(しゅんくう)であった。

判断: 通常なら「財なし」と断じますが、変爻が世爻を生じていたため、野鶴老人は「空亡を出る日(填実)に財を得る」と予言しました。結果、その通りになりました。「空亡は一時的なステルス状態」に過ぎないのです。

ケース3:随鬼入墓(ずいきにゅうぼ)と沖開の期 自らの病を占い、世爻が日辰の墓に入った(日墓)。

判断: 入墓は「意識が朦朧としている」状態。世爻が月建で旺相していれば、これは「仮の入墓」です。墓を沖し開く(未の日など)に意識が回復し、完治しました。

第五節:本章の「真偽を見極める」実戦ノート

真偽の空亡を区別する: 旺相して動いている空亡は「仮空(かこう)」であり、時期が来れば有用。休囚して剋されている空亡は「真空(しんくう)」であり、最後まで無用です。

進退神の境界線: 進神は拡大、長久を意味し、求財や求名に適します。退神は縮小、終了を意味し、災難を避ける場合や病根を断つ場合に適します。

墓庫(ぼこ)の柔軟な使い方: 墓に入るのは「金庫に入れられた」ようなもの。吉神が墓に入れば一時的に使えませんが、沖(ちゅう)されれば出てきます。凶神が墓に入れば、災いが封じ込められたことを意味し、大吉となります。

結び

旬空、進退、生旺墓絶。これらは六爻予測の「動的座標」です。月日は事物の「体(ベース)」であり、これらの状態は事物の「用(はたらき)」です。単に「空亡だからダメだ」「墓に入ったから死ぬ」と決めつけず、用神の根源的な力と動きの趨勢を組み合わせて判断しなければなりません。

次章予告: 「第六章:動態演化論:動爻、変爻と回頭生剋の因果ロジック」。なぜ「動けば必ず変わる」のか、そして変爻がいかにして絶体絶命の状況を逆転させるのかを解析します。

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