六爻占い教室

第16章|誤断を生む落とし穴

はじめに:運命の全息図(ホログラム) —— なぜ「分占の法」が身命占の核心なのか? 『増删卜易』の体系において、一人の一生の運勢を予測することは「最難関の課題」とされています。資料…

January 4, 2026 · 12分で読めます

はじめに:運命の全息図(ホログラム) —— なぜ「分占の法」が身命占の核心なのか?

『増删卜易』の体系において、一人の一生の運勢を予測することは「最難関の課題」とされています。資料の冒頭で、野鶴老人は革命的な観点である**「分占(ぶんせん)の法」**を提示しました。

野鶴老人は、伝統的な占術書が一つの卦で妻・財・子・禄、そして寿命のすべてを網羅しようとすることを、論理的に破綻していると指摘しました。例えば、父母爻が旺相していれば長輩の健康を意味しますが、同時に父母は子孫を剋します。では、「長寿の親を持つ者は必ず子宝に恵まれない」などということがあるでしょうか? したがって、資料では「父母を占う、兄弟を占う、それぞれ別の卦を立てよ。一生の財福、功名、夫婦、子孫、寿命、これらすべてを個別に占う(分占)のが宜しい」と強調しています。このアプローチこそが情報の干渉を避け、精度を確保する唯一の道なのです。

第一節:終身財福 —— 富貴貧賤の底層ロジック

一生の金運における「財」と「福」の弁証関係は、**「世爻(自分)は本、財爻(利益)は利、子孫爻(福神)は源」**という言葉に集約されます。

1. 理想的な身命財運モデル

理想的な一生の金運卦は、世爻・財爻・子孫爻の三者がすべて欠けることなく強い(旺相)状態です。

世爻が旺相: 自身にエネルギーがあり、富を受け止める器がある。

財爻が旺相: 生涯を通じて財源が広い。

子孫(福神)が旺相: 富の源泉が絶えず、持続的な発展力がある。

2. 特徴的な財運構造の分析

財世旺相、福神不旺: 「財旺福空(ざいおうふくくう)」。現在は裕福だが源泉(アイデアや市場性)に欠け、栄華が長続きしません。

世と福が旺じ、財爻が不旺: 既存の産業を受け継ぎ、悠々自適に暮らせますが、経営には向かず、財産は他人に管理されることが多いです。

財福ともに旺じ、世爻が傷つく: 「富屋貧人(ふおくひんにん)」。家は大富豪でも、本人が多病であったり訴訟に明け暮れたりして、富を享受する命(めい)がありません。

第二節:功名の有無 —— 社会的地位の定め

社会的地位の獲得には、資料によれば三つのルートがあります。

1. 文宏見用(ぶんこうけんよう):正規の昇進

旺相する父母が世に持し、官鬼がこれを生ずる形。学歴や試験といった正規のルートで地位を得ることを意味します。

2. 納禄成名(のうろくせいめい):商業と権力の交換

官星が世に持し、財爻が発動してこれを生ずる形。投資や事業上の功績によって管理権力を得る、現代的なビジネスリーダーの象です。

3. 立功成名:特殊な功績

官星のみが独り旺ずる形。特殊な任務や技術突破によって破格の抜擢を受けることを意味します。

第三節:寿元(じゅげん)の長短 —— 生命エネルギーの帰着

寿命の予測は最も厳粛な部分です。資料には**「世爻は生命の根なり」**とあります。

長寿の徴: 世爻が旺相し、月日に臨み、あるいは動変の回頭生(かいとうしょう)を得る。生命の根底が深く、天寿を全うできる兆しです。

早世の兆: 世爻が化鬼(かき)、化回頭剋、あるいは化絶、化墓となる。「夕陽は無限に良きも、ただ恐らくは時多からず」の状態です。

元神(げんじん)の動静: 生命を生み出す元神は、静止しているのが宜しい。元神が発動することは、生命エネルギーの「露出」を意味し、その元神が尽きる時が寿命の終点となりやすいからです。

第四節:随鬼入墓 —— 一生の運勢の枷(かせ)

身命占における「入墓(にゅうぼ)」には特殊な意味があります。

世爻随鬼入墓(せいこうずいきにゅうぼ): 一生、才能がありながら認められない、あるいは慢性病や精神的な重圧に長年悩まされる象です。

解脱の道: 墓庫を沖し開く(沖開)年月が巡ってきて初めて、呪縛から解き放たれ、本来の力を発揮できるようになります。

第五節:実戦ケースの解析(資料より)

ケース1:財旺じて官を生じ、財をもって名を求める 一生の功名を占ったところ、財爻が世に持し、官鬼に化していた。

判断: 財力によって地位を得る運勢。ただし、六合から六沖へ変化したため、最終的には官職を全うできず、健康(眼病)を損ねて引退しました。

ケース2:自強自旺(じきょうじおう)、裸一貫からの出発 一生の財福を占ったところ、世爻が強く、月日の助けを得ていた。

判断: 「自強自旺」は自立心を意味し、裸一貫で家業を興す象です。ただし、財福の裏付けが弱ければ、精神的な強さがあっても生活は困窮します。

ケース3:福神持世、清高(せいこう)な一生 一生の指針を占ったところ、子孫爻が青龍を伴って発動した。

判断: 子孫は「恬淡(てんたん)の神」。富貴を追わず、高潔な志を持つ象です。結果、当事者は遺産を放棄して道教の修行に入りました。

第六節:筆者による深度解析 —— 身命占における「時空の対位」

「富」と「貴」の分離: 現代社会では「金はあるが地位がない」「地位はあるが金がない(清貧)」というケースが多いですが、これは財爻と官爻の旺衰のバランスに現れます。

身命における「空亡(くうぼう)」: 世爻の空亡は本来忌まれますが、旺相していれば「大器晩成」を意味します。中年以降に空亡を沖実する時期に、突然頭角を現します。

神殺を死守せぬこと: 寿命占で一見して喪門・弔客といった不吉な星があっても、世爻が旺相していれば万殺(ばんさつ)入らず、長寿を保てます。

第七節:身命予測の十大実戦鉄則(まとめ)

分占(ぶんせん)こそが王道: 財・官・寿・子は個別に占うべし。

世爻は生命の本(もと)なり: 世爻が絶えれば、すべてが空(くう)となる。

子孫は財の源なり: 福のない財は、根のない木のごとく一時的なもの。

官父(かんぷ)相生すれば名顕わる: 正規の出世ルートは官印を見る。

財動いて官を生ずれば必ず納職す: 経済的貢献による地位の獲得。

兄弟持世すれば一生財を聚(あつ)め難し: 貯蓄が難しく、出費がかさむ象。

随鬼入墓すれば一生憂煎(ゆうせん)す: 籠の中の鳥のような停滞感。沖開を待て。

化進(かしん)する者は家業日に盛んなり: 晩年になるほど良くなる。

反吟(はんぎん)すれば運命波折す: 波乱万丈、浮き沈みの激しい一生。

一念の誠は神に通ず: 一生の重大事こそ、誠実な問いが必要。

本章結語

身命予測は『増删卜易』の中で最も哲学的な深みを持つ部分です。人生の富貴や寿命は孤立した点ではなく、エネルギーと構造が織りなす一本の線であることを教えてくれます。「分占の法」を用いることで、私たちは自分の運命がどの次元で輝き、どの次元で課題を抱えているかを明確に知ることができます。予測の目的は、旺相の年に勇往邁進し、休囚の年に自らを養うことにあります。資料にある通り「機を知る者は神なり」。この運命の総決算書を読み解くことで、より泰然とした心で人生の荒波に向き合えるようになるのです。

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