はじめに:求財占の底層ロジック —— 「財」と「源」の弁証法
『増删卜易』の予測体系において、求財は動的なエネルギー交換として捉えられます。資料には、求財において最も核心的な二つの要素は「妻財(さいざい)爻」(財産そのもの)と「子孫(しそん)爻」(財の源泉)であると明記されています。
野鶴老人は、求財において単に財爻(ざいこう)だけを凝視してはならないと考えました。もし財爻が旺相(強い)していても子孫爻が空破(無力)であれば、これを「財旺福空(ざいおうふくくう)」と呼び、現在は金があっても後続が続かず、源のない水のようにやがて枯渇することを意味します。逆に、財爻が一時的に弱くとも子孫爻が発動して助けていれば、将来的に利益が転がり込むことを示します。本章では、資料の「求財総論」に基づき、富の迷霧を見抜く方法を伝授します。
第一節:求財における六親(りくしん)の職能定義
金運を正確に判断するには、現代のビジネスシーンにおける五つの役割を明確にする必要があります。
妻財爻(用神): 利益、元本、実際に手に入る金品。判断の中心です。
子孫爻(元神): 顧客、市場の需要、生産力、稼ぐためのルート。現代では「トラフィック」や「技術」を指します。
兄弟爻(忌神): コスト、競合他社、利益を分配する者、出費。求財における最大の障害です。
官鬼爻(漏気・護衛): 公的な規制、圧力、小人(悪意ある人)。財の気を漏らす一方で、発動すれば兄弟爻を剋して(ライバルを叩いて)「財を守る」役割も果たす、二面性を持つ存在です。
父母爻(消耗): 契約書、店舗の家賃、煩雑な事務、苦労。父母爻が発動すると子孫爻を剋する(客源を消す)ため、通常は「苦労が多く利益が薄い」ことを意味します。
第二節:求財の基本パターンと「持世(じせい)」の奥義
資料によれば、金運判断の第一歩は用神と世爻(自分)の関係を見ることです。
1. 妻財持世(さいざいじせい):財が我に就く
「財爻が世に持(じ)すれば、必ず得る」。金が自分のすぐそばにあるか、向こうからやってくることを表します。ただし、資料の評釈では「財が世を剋する者は必ず得る」と注意を促しています。日々の求財では、財が自分を剋することは自分が財をコントロールできることを意味し、吉兆となります。
2. 子孫持世(しそんじせい):座して成功を享受する
「子孫が世に持すれば、利息豊かなり」。子孫は福神であり、世に持つことは自分が稼ぐ手段を持っているか、優れた市場リソースを持っていることを表します。財爻に欠陥がなければ、非常に楽に金を得られます。
3. 兄弟持世(けいていじせい):困難の中での求財
伝統的な観点では「兄弟持世は必ず財を失う」とされます。しかし、評釈では修正案として「合伏(ごうふく)求財」を挙げています。もし兄弟持世でも動いて財に化す(変化する)場合や、卦の中の子孫・財爻が極めて強ければ、それは「パートナーシップ」や「競争の中」で勝ち取る利益を意味します。
第三節:専門予測(一):開店・商売と貿易
資料「開行、開鋪章」などは、現代のビジネス行為に対しても時空を超えた正確な指針を与えてくれます。
1. 開店の「世応(せいおう)」ロジック
世爻は自分、応爻は客: 世応が相生・相合すれば、店主と客の関係が調和し、商売繁盛します。
応が世を剋す: 客が口うるさいか、同業者からの圧力を意味します。
応爻に玄武や兄弟が臨む: 内部の人間による盗難や、パートナーによる横領に警戒が必要です。
2. 在庫の脱貨(売り抜け)
財衰は固(かた)めるに宜しく、財旺は脱(だつ)するに宜し: 商品(財爻)が旬で強い時に早く売り抜くべきであり、価格が低迷(衰弱)している時は蓄えて時を待つべきです。
財が退神に化す: 価格が暴落する予兆です。一刻も早く売り払い、手元に残してはいけません。
第四節:専門予測(二):借金、債権回収、経済トラブル
1. 貸し付けと回収
貸し付け: 最も忌むべきは「世応相沖」や「応爻の空破」です。これは借り手が不誠実か、返済能力がないことを表します。
回収: 財爻が自分(世爻)と関係があるかを見ます。財が自分を剋すか、自分と合すれば回収できます。財が応爻(相手)を生じているなら、金は相手の懐に入ったままで戻りません。
2. 筆者による解析:債務における「トリガー」メカニズム
資料には、返済を占って財爻が空亡(くうぼう)だったが、翌日の日辰がそれを沖(ちゅう)したことで返済された事例があります。これは、現在は「金がない」と言っていても、特定のタイミング(沖空の日)にエネルギーが刺激され、返済が実行されることを示唆しています。
第五節:筆者による深度解析 —— 求財における特殊なエネルギー状態
財が大旺(だいおう)なる者は、かえって財を得ず: 「財が旺じ極まる者は、墓(ぼ)に入る日を待ちて得る」。市場が過熱しすぎている場合、一度エネルギーが収束(入墓)するか、刺激(受沖)されるまで、利益は確定(利益確定売り)できません。
兄弟動いて財に化す:先には散じ後には集まる: 最初は投資や宣伝(散財)が必要ですが、最終的に倍になって戻ってくることを意味します。
貪生忘剋(たんせいぼうこく):転機の奥義: 兄弟(ライバル)が財を奪おうとしても、卦の中に子孫(仲介者・技術)が動いていれば、兄弟は子孫を生じることに夢中になり、財を剋することを忘れます。これにより危機が回避されます。
第六節:実戦ケースの解析
ケース1:財に根あり、破れて復(ま)た得る(貿易価格) 子月に財の「卯木」を占う。月建(水)に生じられており「根(ルーツ)」がある。現在は兄弟に抑えられているが、野鶴老人は「寅月になれば兄弟を沖し去り、価格は必ず上がる」と断じ、的中しました。
ケース2:財旺福空、栄華は久しからず(一生の財運) ある女性が一生の運勢を占った。財爻は強いが、源である子孫爻が空亡(空っぽ)で傷ついていた。
判断: 手元に小銭はあっても、稼ぐ源泉が断たれているため、一生貧困となる。結果、その通りになりました。「源(子孫)」の重要性を物語るケースです。
ケース3:兄弟持世で大利を得る(特殊なパターン) 兄弟持世は通常、損を意味しますが、世爻そのものが「財の庫(金庫)」であり、かつ子孫爻が発動して財を助けていた。
判断: 多くの人(兄弟)の財を自分の金庫に集めることができる「神のマネーハンド」であると断じ、年間数億円を稼ぎ出しました。
第七節:不義の財と神の告げ
資料「行検求財章」には、道徳観と予測の境界が示されています。 「財を義にもって取る者は、神の告げ顕然(けんぜん)なり。財の不義なる者は、神告げず」。 違法行為や詐欺による求財を占っても、卦象は真実を示さないか、あるいは「逮捕」という結末のみを示します。六爻は悪事の片棒を担ぐ道具ではありません。
第八節:求財の十大実戦鉄則(まとめ)
源のない財は長続きせず:財の強さには子孫の気が不可欠。
兄弟は必ずしも凶ならず:持世して財に化せばパートナー利益。
官鬼は諸刃の剣:財を漏らすが、兄弟を制して財を守る。
父母は苦労の証:父母動けば、それは汗水垂らした労働の対価。
空亡は沖実を待つ:財が空なら、沖されるか埋まる日に得る。
月破は根基を見よ:月破でも生じられていれば、月を過ぎて発する。
入墓は沖開を見よ:金が他人の金庫にあるなら、沖開の日を待つ。
化退は急ぎ売るべし:価格下落の兆し。
化進は長く持つべし:長期投資で利が倍増する。
誠意が道を拓く:邪念のない一念が、正しい財路を示す。
本章結語
『増删卜易』の知恵において、富とは静止した数字ではなく、流動する生剋関係です。求財予測の本質は、「我・利・源・阻(自分、利益、源泉、障害)」という四者の動態的なバランスを見極めることにあります。子孫爻の勢いと兄弟爻の牽制を読み解けるようになれば、あなたはビジネスの意思決定において先機を掴むことができるでしょう。
